漏れるまで大丈夫?
@自宅にて
先日、あるお客様と、台風21号の被害について、話していたときのこと。
その物件は、幸い、樋や板金部分には被害があったものの、それ以外は今の所、目立った被害箇所は出ていない様子。
岸下「これだけで済んでよかったですね。」
S様「そうやねん。うちの被害が少なかったこともそうやし、もし、うちの建物の一部が飛んでって、誰かに怪我させたとかでなくて良かったわ」
何かあった場合、しかも他人が絡むと、やっぱり気持ち的にいいものではありません。
岸下「お部屋の中は、大丈夫だったんですか?」
S様「入居者からは、雨漏りの話は出てなくて。結構、ほったらかしやから、びくびくしてるけど。」
実は、こういった物件オーナーは非常に多いです。
あなたも、そのうちの一人では?
防水や外壁に関する工事は、費用として高くつく、と思っている方が多いと思います。
実際に見積書を持っていって、「高い!」とか「やっぱりこれくらいするかぁ」って言われることが多いです。
ここでの「高い」とは、他社と比較して「高い」というより、金額帯が高いと思われてます。
例えば、見積り金額が、他者が100万円、うちが90万円だったとします。
ただ、いつも見慣れている見積書が、10万円前後なら、これは高く感じてしまいます。
うちが、他社より10%も安くても、です。
しかし、お考えいただきたいのが、
① その工事で何年大丈夫なのか?
② 世帯あたりいくらの負担で済むのか?
③ そこから、どれだけの安心感が得られるのか?
です。
京都市内でも、人口減少をしているのに、それでも増え続ける、新築の物件。
周りをみれば、家賃を下げ、いろいろな工夫をし、入居を維持しています。
そうです。
「以前は、よかった」という、あのときのようには、いかないのです。
ということで、そのままにしてしまいがちな、防水や外壁工事です。
思い出すのは、決まって雨漏りをしたとき、など。
なかには、施設賠償保険にだけ入って、ある意味の延命処置?をしている方もいました。
その物件は出口が転売なら、それもありですよ。
これは、その物件においける、あなたの戦略次第です。
どれが正解かは、物件の内容や立地によって異なります。
転売前に、外壁塗装やリノベーションをおこなった方が、売却益が出る物件もありますから。
しかし、雨漏りはちょっと用心してください。
以前、「雨が漏ってきたら、防水とか考えるわ」という方がいました。
建築目線でいくと、ちょっと恐ろしい。
雨漏りをして物件を、うちでもたくさん直してきました。
でも、直せるのは、建物の表側と、漏れ出てきた室内側のみです。
外部から雨が入り、室内に抜けるまでの、躯体や壁の中は、直せません。
仮に、壁や天井をおとして、新しくやり直すなら、その部分は新しくなるでしょう。
でも、実際には、ほとんどが表面のみの補修になりますが…
躯体に関する箇所などは、何もできません。
雨漏りでできた「水の道」は、雨漏りに対する対処をしない限り、同じところをつたい、水がもれ続けます。その「水の道」は残ったままです。
その「水の道」が、鉄骨の躯体や鉄筋にまで浸透したら、その鉄骨や鉄筋はサビます。
錆びた鉄は、強度が一気に落ちてしまいます。
また、鉄そのものが膨らんだりしてきて、コンクリートをもひび割れをさせます。
建物は、常に様々な振動の影響を受けます。車の通ったときの衝撃振動や風など、建物は常に揺れています。
そのような振動が、さらにひび割れを増進します。
物件の出口戦略にもよりますが、長期保有が前提、もしくは、おそらく長期保有になるであろう、ということであればお考え下さい。
この記事を読む賢明なあなたなら、雨漏りの事前対処や早期対処の必要性をお分かりいただけると思います。
この雨漏り対処や防水工事について、コストダウンを図る方法の一つは、現状がひどくなる前に着手をする、ということです。
ひどくなってからでは、様々なことが余分にかかります。それはもちろん、コストも同じ。
例えば
① 表面のトップコートの塗布だけいい場合。
② 表面を念入りにケレンなどの下地処理、クラック部にはシート補修、それが終わってやっと防水塗装にトップコートの塗布、しかも産業廃棄物の処理代もかかります。
しかも、一つは安心感があり、一つはいつも心配。
あなたなら、どちらを選ばれますか?
ー岸下 大輔