京町家の行く末は…

@事務所にて

 

 

「京町家」の雰囲気って、いいですよね。

それこそ、京都ならでは!って感じで。

 

京都以外の方が、外国人観光客が見ておきたいものであったり、触れたり、その場の雰囲気を体感・体験したいものの一つに、京町家が必ず上がるでしょう。

 

私も京都以外の友人が、この京都に遊びに来たとき、連れて行くものの候補には入れますよ。

特に、歴史好きの人なら、それに絡む建物だと、喜んでくれます。

 

でも、この京町家。

いま、すごい勢いで、買い取られ、解体されていっています。

 

悲しい…といった感情はありませんが、京都市側としても、もう少し打つ手がないものか?と思います。

 

そもそも、この京町家。

「京町家」と呼ばれるものに、一応、定義があります。

 

【京町家保全継承条例】より

町家は、1950年の建築基準法施行以前に建築された木造建築物で、柱や梁(はり)などの伝統的な構造、通り庭や格子といった意匠を有するものとした。

とされています。

 

その定義に基づき、現在、残存しているのは、2016年調べで、4万軒ほどあります。

もちろん、これは観光の有名どころに建っているようなものも含まれます。

 

この京町家が解体されていくペース、あなたは、どれくらいかご存知ですか?

 

その数、年間に800軒ほど。

実に、毎日2軒のペースで解体されているといわれています。

 

京都市側の回答では、10年間で全ての京町家を対象に、保全や継承に繋げると計画していますが、本当にできるのか?と問われているところです。

 

関連記事

「京都市最古級の町家が解体消失 室町起源、保全強化も奏功せず」

 ←記事はこちらをクリック

 

保全や継承といっても、基本的には、個人所有の財産。

そこに税金を投入するにしても、投入する価値を市民が理解を示さないと、長期間のバックアップは難しいでしょう。

 

「京都市をはじめ、行政からの補助もあまり…」

という所有者同士の思いや、

「いずれ、全ての京町家を京都市が管轄するようになると、転売も解体など、個人の意向は聞き入れきれないから」

というデベロッパーからの囁きなど、保全には不向きなことが多い。

 

また、京町家って、広さもあると、場所もいいし、スクラップ&ビルドで映える要素がたくさんあるんですよね。

今の流行りなら、宿泊施設への転換ですかね。

それだけでも、今まで固定資産税などの税金・見た目の維持費など、持ち出しが多かったのが、収益が生まれるものに変わる。

 

また、「手放して、歴代から続く、継承の苦痛からの解放もある」となると、手放したくなる気持ちもわかりますよね。

何か一つ修理するだけでも、かなりの費用になることも多い。

 

それに、京町家って、現在の住宅に比べると、当然、「寒い」し「暑い」。

確かに、知恵と工夫は、様々に駆使されています。

 

京町家からみれば、中途半端に古い昭和時代の家より、快適な部分もあるでしょう。

でも、本当に快適か?っていわれると、ねぇ。

 

その京町家。

商業価値として、付加価値をつけやすいものは、京都市が購入し、民間企業に賃貸に貸し出すなどは出来ないものなのでしょうか?

そのエリアが、祇園界隈だと、今以上に集まり過ぎるので、どこか違う場所に選定するとか。

 

いずれにしても、「歴史」も観光資源の一つですから、双方がうまく成り立つ道があるといいのですが。

 

あなたはなら、京町家をどう活用しますか?

 

 

―岸下 大輔